何を代行させたか:4社への番組登録とアカウント作成

対象は、音声配信の2番組(AI活用の番組とEC運営の番組)です。音源は stand.fm に置き、そこから出る RSS を各社に登録します。2026年8月3日から9日にかけて、Apple Podcasts Connect、Spotify for Creators、Amazon Music(Audible for Podcasters)、YouTube への登録をAIにブラウザ操作で任せました。

AIが使えた道具は次の3つです。

  • ブラウザを操作する連携ツール
  • メールを読む連携ツール(番組の連絡先アドレス宛のメールが、接続済みの Gmail に届く)
  • パスワードの保管先としての macOS キーチェーン

パスワードはAIが生成してキーチェーンに入れ、チャットには出しません。保管した後は、値を見ずに参照するだけです。

着手前に決めた分担は次のとおりでした。

  • 人がやる:stand.fm のアプリ設定、Apple ID 作成時に届く SMS コードの読み上げ、各社の利用規約への同意、取り込み後の「公開」ボタン
  • AIがやる:各社への登録操作、アカウントの新規作成、パスワードの生成と格納、登録後の疎通確認

実際にやってみると、この分担表はいくつかの点で違っていました。以下がその差です。

AIだけで通せたもの

メールで届く数字のコード

Spotify for Creators では、アカウントの新規作成から番組登録、所有確認までをAIが進めました。所有確認は、RSS に書かれた連絡先アドレスに届く8桁のコードを入力する方式で、2番組とも完了しています。

Amazon でも、新規アカウント作成のときのメールのワンタイムコードは Gmail から読めて、そのまま通りました。このとき画像認証は出ていません。

数字だけのコードは、メールを読む連携ツールを通しても壊れませんでした。リンクを踏ませる型との差はここで分かれます(次の章で扱います)。

RSS の登録そのもの

RSS を貼って送信する操作は、ブラウザ操作で通りました。Spotify は登録当日(8月8日)のうちに2番組とも公開され、stand.fm の最新回まで自動で反映されていることを確かめています。

ログイン状態の保存

一度人がサインインしたブラウザのログイン状態は、保存して再利用できました。Amazon では保存後、次回からサインインなしで管理画面に入れる状態になっています。サインインは人が行い、その後の操作をAIが引き継ぐ形です。

通らなかったもの:4つの型

1. リンクを踏む型の確認メール

Amazon の所有確認メールには、confirm?token= の形のURLが入っていました。メールを読む連携ツールは、本文中の「=」の直後2文字を quoted-printable の符号として復号してしまい、token= の後ろ2文字が失われます。失われた文字は置換文字に潰れるので、元の値も分かりません。

同じ壊れ方は、本文中の width=device-width などにも出ていました。特定のURLの問題ではなく、本文全体に起きる性質です。メール内の追跡リンク経由でも同じ箇所が壊れ、400 エラーになりました。本文を返さない取得形式に変えても、当然ながら回避にはなりません。

数字のコードは通り、リンク型は通らない。この線引きは、実際に試すまで分かりませんでした。

2. 自動操作のブロック

Apple ID を新規作成しようとしたところ、電話番号と画像認証を通過した後に「現在アカウントを作成できません」と表示されました。入力に不備があれば、その手前で止まるはずの位置です。そのため、Apple 側の自動操作ブロックと判断しました。Apple に原因を確かめたわけではないので、推定です。

この時点で Apple ID の新規作成はやめ、既存の Apple ID を使う方針に変えました。

3. SMS 認証

Amazon の新規アカウント作成では、メールのワンタイムコードの後に「Add mobile number(Step 1 of 2)」が必須で出ました。SMS は端末に届くので、AIは受け取れません。

厄介だったのは、この画面を飛ばして RSS の送信画面へ進めてしまうことです。一時的には操作できますが、アカウントは成立していません。後でサインインすると「We cannot find an account with that email address」と表示されます。進めたように見えても、登録は終わっていませんでした。

4. 本人の動画を求める確認と、スマホアプリ限定の画面

YouTube では、RSS の取り込みを選ぶとチャンネルの確認が求められました。選択肢は次の3つです。

  • 6秒の自撮り動画の撮影(通常は数時間で承認)
  • 身分証明書の写真の撮影
  • 利用の履歴を積む(アクティブな利用期間が2か月必要)

どれも本人にしかできません。さらにこの確認が済むまで、2つ目のチャンネルの作成もできませんでした。人が自撮り動画を送り、翌日(8月9日)には2番組とも RSS 取り込みの登録と所有権の確認まで完了しています。

もう1つは stand.fm です。プロフィールとポッドキャスト設定はスマホアプリにしか編集画面がなく、PCのブラウザからは触れません。ここは代行できないので、入力する値を「貼るだけの状態」にして人に渡しました。

通らなかったときの回避策

リンク型のメールは、URLだけを人に貼ってもらう

Amazon の所有確認では、人が確認メールの「Confirm Ownership」のリンクURLをコピーして貼りました。AIはログイン済みのブラウザで、https://podcasters.amazon.com/confirm?token= から始まるURLを直接開いています。

貼られたのは追跡リンクのURLで、末尾の署名まで壊れていました。追跡リンクは使わず、confirm?token= の部分だけを抜き出して開くのが正解でした。これで2番組とも所有確認まで完了し、ダッシュボードの表示は「Unconfirmed」から「保留中」、続いて「有効」に変わりました。

配信が始まったのは登録から約50分後で、Amazon の案内にあった「24時間以内」よりかなり早く反映されました。なお、確認メールは有効期間が24時間で、期限を過ぎても再送できます。

新規作成をやめて、既存のアカウントに切り替える

Apple も Amazon も、最終的には既存のアカウントで登録しました。Amazon の所有確認メールは、RSS に書かれた連絡先アドレスに届く仕様です。そのため、管理画面にサインインするアカウントのアドレスが別でも支障はありませんでした。アカウントの新規作成そのものが要らなくなります。

Apple では、人が普段使っているブラウザで Podcasts Connect にサインインし、RSS を送信しました。中継した RSS は正しく取り込まれ、エピソードが Connect 上に並んでいます。

想定した確認が、そもそも来ないこともある

Apple の所有確認メールは来るものと想定していましたが、届きませんでした。Gmail を実際に確かめて、届いていないことを確認しています。この経路では不要だったということです。翌日(8月9日)の実測では、番組は公開済みでした。

最初から決めておく分担

実測を踏まえて、いまは次のように分けています。

AIがやる

  • 各社の登録画面の操作(RSS の貼り付けと送信)
  • メールで届く数字のコードの読み取りと入力
  • パスワードの生成とキーチェーンへの格納
  • 登録後の疎通確認(番組が出るか、最新回が反映されるか、説明欄のリンクが生きているか)

人に渡す

  • 電話番号の入力と、SMS で届くコード
  • 利用規約への同意(法的な同意なのでAIに代行させない。YouTube ではチャンネルごとに1回、2番組で2回必要でした。Amazon は初回の1回だけでした)
  • 本人確認(自撮り動画、身分証)
  • リンクを踏む型の確認メールの、URLのコピー
  • 取り込み後の「公開」ボタン(YouTube は取り込み直後は非公開で入るので、公開するかは人が判断する)
  • スマホアプリにしか画面が無い設定

そう分けた理由

数字のコードは、読んで入力するだけなので道具の側で壊れません。リンク型は、道具が本文を加工するせいで元のURLを復元できません。SMS と本人確認は、端末と本人に紐づいています。規約への同意は、操作の手間より同意する主体が問われるので人に残しました。

当初の分担でずれたのは Apple ID でした。人が SMS のコードを読み上げれば通ると考えていましたが、その手前の自動操作ブロックで止まりました。ここは一般論からは分からない部分でした。

人に渡すときの渡し方

画像認証や電話番号が出たら、そこで止める

画像認証や電話番号による本人確認が出たら、そこで止めて人に渡す。このルールを先に決めていました。それでも Amazon の件では、SMS の画面を飛ばして先へ進み、成立していないアカウントのまま操作を続けています。止める地点は、画面を進められるかどうかではなく、「アカウントが成立したか」で判定する必要がありました。

渡す物は1つに絞る

人に頼むのは、その時点で必要な1つだけにしました。携帯番号とそこに届くコード、確認メールのリンクURL、stand.fm の RSS URL、といった具合です。

stand.fm の設定では、番組ごとに入力値(番組名や説明文など)を並べ、コピーして貼るだけの形に整えました。操作の順番も書き添えています。画面の項目名は変わることがあるので、迷ったら画面のスクリーンショットを送ってもらい、AIが判断します。

戻ってきたところから再開できるようにしておく

渡して終わりにせず、人の作業が済んだところから続きを始められる形にしておきます。Amazon では、人がサインインしたブラウザの状態を保存し、次からはサインインなしで入れるようにしました。成立しなかったアカウント用に生成したパスワードも、作り直すときにそのまま使えるよう保管しています。

この記録で分かっていないこと

  • Apple の新規作成が止まった原因は、Apple 側に確かめられていません。
  • 各社の画面と仕様は変わります。ここに書いた結果は、2026年8月時点の実測です。