「毎回指示する」運用には、見えにくい限界がある

AIへの個別の質問は手軽ですが、3つの負担が静かに積み上がります。ひとつめは、毎回前提を説明し直す手間。ふたつめは、人によって・日によって指示の質がぶれること。みっつめは、よい指示を書けても、それが次回に残らないことです。

この3つは、いずれも「指示が使い捨てになっている」ことから生まれます。一度組み立てた段取りを資産として残し、呼び出すたびに同じ品質で動かす。これがエージェントチーム化の出発点です。

relmea が使っている3層構造

relmeaでは、役割を3つの層に分けています。この分け方は、人の組織と同じ発想です。

  • 司令塔(L0):全体の方針と判断基準を持つ層です。どの専門に振るかを決め、結果をまとめます。人でいえば、事業全体を見る立場にあたります。
  • コマンド(L1):複数の専門を組み合わせる「定型の段取り」です。たとえば「リリース前チェック」のように、毎回同じ手順で複数の役割を動かしたい作業を、ひとつの呼び出しにまとめます。
  • エージェント(L2):個別の専門担当です。価格設計、法務チェック、記事執筆など、ひとつの領域に特化した知識と判断を持たせます。

重要なのは、知識をエージェントに、段取りをコマンドに、判断を司令塔に分けて持たせることです。役割が混ざると、修正したときにどこを直せばいいか分からなくなります。層を分けておくと、ひとつの改善が他に波及しにくくなります。

なぜ「1体の万能AI」ではなく分けるのか

ひとつのAIに全部を任せると、指示が長く複雑になり、抜け漏れや方針のぶれが起きやすくなります。専門ごとに分けると、それぞれの役割の指示を短く・具体的に保てます。結果として、出力の安定性が上がり、改善も一箇所ずつ進められます。組織で役割分担をするのと同じ理由です。

何から作るかの判断軸

最初から数十体を設計する必要はありません。relmeaがおすすめしている始め方は、次の順番です。

  1. くり返している作業を1つ選ぶ。週に何度も同じ説明をしている作業ほど、エージェント化の効果が大きくなります。
  2. その作業の判断基準を文章にする。「何を優先するか」「何を避けるか」を書き出すと、それがそのままエージェントの中身になります。
  3. 1体で動かして、使いながら直す。最初から完璧を目指さず、実際に使って気づいた点を反映していきます。
  4. 同じ段取りを3回くり返したら、コマンドにまとめる。手順が固まってきたサインです。

この進め方なら、設計に時間をかけすぎることなく、使うほどに賢くなるチームを育てられます。実際にrelmeaのチームも、最初の数体から始めて、必要に応じて少しずつ増やしてきました。

委譲するもの・自分で残すもの

すべてをAIに任せるのが目的ではありません。relmeaでは、定型の作業や下調べ・草案づくりは委譲し、最終的な判断と対外的な責任は自分で持つという線引きをしています。AIは選択肢と根拠を素早く揃える担当、人は決める担当、という分担です。この線引きをはっきりさせておくと、安心して任せられる範囲が広がります。