着手時に見つかったのは、屋号だけのフッターだった

2026年6月22日、法務担当のAIエージェントに、自社メルマガの表示を点検させました。弁護士の確認は受けていない、AIによる確認メモです。

最初に見つかったのは、登録確認メールのフッターでした。入っていたのは次の3つだけです。

  • 屋号
  • サイトのURL
  • 「個人事業として運営しています」の一文

氏名も、送信者情報ページへのリンクも、解除の案内もありませんでした。

メモの指摘

  • 屋号だけでは「氏名または名称」の表示として不十分とされる。ガイドラインでは「○○運営事務局」のような名称のみでは足りないという扱い
  • 個人事業の場合は「屋号(運営: 氏名)」の形にする
  • 電話番号は必須ではない。電話番号、メールアドレス、URLのいずれかで足りるため、問い合わせ先はメールアドレスのみにする

この整理に沿って、フッターは屋号と氏名を併記する形にしました。

AIの法務メモから1文を削った理由

メモには、推奨フッター案が付いていました。そのなかに次の一文がありました。

「所在地・電話番号はご請求いただいた場合に遅滞なく開示いたします」

この一文は、実装時に入れませんでした。2026年7月12日に全通共通のフッターを導入したときのことで、理由はビルドスクリプトのコメントに残してあります。

省略の扱いは、特定商取引法の側にしかない

この一文は、メモの中で特定商取引法の整理から出てきたものです。特定商取引法には、請求があれば遅滞なく開示することを示して、住所や電話番号の表示を省く扱いがあります。

一方で、同じメモは特定電子メール法について「請求があれば開示」の省略は認められず、住所は番地まで表示する必要がある、と整理していました。

当方は住所を送信者情報のページに実際に表示しています。表示してあるのに「請求があれば開示します」と書くと、特定電子メール法の表示まで省略できるかのように読める文になります。不要で、かつ紛らわしいので削りました。

メモの推奨文をそのまま貼るのではなく、メモの他の節と突き合わせてから採る。AIの法務メモを使うときに、ここで1回手を止めたのが一番大きな判断でした。

全通共通フッターの中身と、直書き/リンクの分担

フッターは、ニュースレター全通で、HTML版とテキスト版の両方に同じ内容を入れています。

  • 1行目:屋号(運営: 氏名)
  • お問い合わせ:メールアドレス
  • リンク3つ:運営者情報・所在地/特定商取引法に基づく表記/プライバシーポリシー
  • 一文:「送信者の所在地・お問い合わせ先は、上記『運営者情報・所在地』のページに掲載しています。個人事業として運営しています。」
  • 区切り線の下に「配信を解除する」リンク(配信サービスの差し込み変数で、受信者ごとの解除URLになる)

本文に直接書くもの

メモの整理では、メール本文に直接表示する必要があるのは次の3点です。

  • 送信者の氏名または名称
  • 配信停止の通知先
  • 配信停止ができる旨

リンク先でよいもの

送信責任者の住所と、苦情・問い合わせ先は、その場所を示すURLを本文に置き、リンク先のページに表示する方法でよい、という整理です。

ただし、リンク先には番地まで具体的に書きます。省略の扱いが無い以上、ページ側で曖昧にはできません。

送信者情報のページには、次の内容を載せています。

  • 発行者と運営責任者
  • 所在地(番地まで)
  • 問い合わせ・苦情の受付先
  • 配信の解除方法
  • 特定電子メール法に基づく表示である旨
  • 本人の登録(オプトイン)にもとづく配信である旨

このページは検索結果に出さない設定(noindex)にしています。特定商取引法に基づく表記のページは別のページで、こちらは noindex にしていません。

登録確認メールには解除リンクを置いていない

登録確認メールには、次の文面を入れています。

「このメールは登録フォームから送信されました。心当たりがない場合は破棄してください。登録は完了していません。」

あわせて、送信者(屋号と氏名)、問い合わせ先、送信者情報のページのURLを載せました。

解除リンクは置いていません。確認リンクを押すまで登録が成立しない段階のメールで、解除の対象になる配信がまだ始まっていない、というメモの整理に従っています。ここは当方の整理で、判断が分かれうる部分だと考えています。

取引メールは解除リンクを置き換え、変数が残ったら送信を止める

購入者には、契約後の案内メールを送ります。0日、3日、7日、14日の4通で、ニュースレターではなく、契約に基づく取引上の案内という位置づけです。

ここで1つ問題がありました。ニュースレターのフッターにある解除URLは、配信サービスの差し込み変数です。この変数は、自動配信または一斉配信のときにしか値が入りません。購入後の案内を同じフッターのまま1通ずつ送ると、変数がそのまま壊れた文字列として表示されてしまいます。

取引メール用に1行だけ置き換える

2026年9月21日に、購入後の案内を送る処理へ、フッターの置き換えを入れました。

  • 「配信を解除する」の行を、「このメールはご契約に基づくご案内です(ニュースレターの配信とは別です)。案内が不要な場合は、返信でお知らせください」という一文に置き換える
  • 氏名と送信者情報ページへのリンクは、ニュースレターと同じものを残す
  • 置き換えた後に、解除URLの変数が1つでも残っていたら、例外を出して送信を止める

最後の一点は、フッターの形が将来変わったときのための備えです。置き換え対象の文字列が見つからなければ変数が残るので、購入者に届く前に止まります。

解除リンクの漏れを機械で止める

6月の点検で見つかった不足は、確認メール1通のフッターでした。ただ、ニュースレターは列や通数が増えていくので、1通ずつ目で確かめる運用はいずれ破れます。そこで、全通を機械で数える形にしました。

ビルド時に全通を1行ずつ出す

メールを組み立てるビルドスクリプトが、全通を解析して、1通につき1行、次の項目を出力します。

  • 本文の字数
  • カードの数と見出しの数
  • 配信解除リンクが「あり」か「★なし」か
  • 本文に生のURLがあれば「★」

解除リンクが無い通は「★なし」と出るので、一覧を見れば抜けた通が分かります。

2026年10月20日時点の実測

プレビュー用に書き出したメールを、機械で数えた結果です。ニュースレター系は65通でした。

  • 登録直後の連続配信:AI向け17通、EC向け17通
  • 「使う」の列:AI向け11通、EC向け11通
  • 「任せる」の列:AI向け4通、EC向け4通
  • 単発の一斉配信:1通

17+17+11+11+4+4+1で65通です。この65通すべてに、解除リンク、送信者情報ページへのリンク、氏名が入っていました。

購入後の案内4通は、送信者情報ページへのリンクと氏名が入っていて、解除リンクは前の章の理由で置き換えています。

まだ公開していない導線では、漏れたら送らない作りにした

2026年10月11日に、新しい登録導線のメール送信部分を実装しました。この導線はまだ公開していません。ここでは、漏れを止める仕組みを最初から入れています。

  • 配信停止リンクが渡されなければ、例外を出して送らない
  • メールソフトのワンクリック配信停止に対応する(List-Unsubscribe に https と mailto を載せ、List-Unsubscribe-Post も付ける。RFC 8058)
  • 解除URLにメールアドレスそのものを入れない
  • 返信でも配信を止める

既存の65通は、ビルドの出力を見て漏れを探す運用です。新しい導線は、漏れがあれば送信そのものが止まる作りです。人が一覧を見なくても止まるぶん、後者のほうが確実だと考えています。

この記事の範囲と、参照した資料

この記事の内容は、AIの法務エージェントが作った確認メモと、それをもとに当方で実装した範囲の記録です。専門家の確認は受けていません。「これで適法です」という趣旨ではなく、個人事業が自分で整理して実装した一例です。個別の判断が必要な場合は、所管の窓口や専門家に確認してください。

メモが参照していた資料は次のとおりです。

  • 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、同施行規則
  • 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」
  • 消費者庁「通信販売広告について」

開封率や解除率など、表示の変更が成果に与えた影響の数字はありません。この記事で示した数字は、表示が全通に入っているかを数えたものだけです。