商品ページの「付属品」欄は、なぜ実物とずれるのか
商品ページの「セット内容」「付属品」「特典」の欄は、商品そのものの説明とは別に、単独で管理されることが多い項目です。商品仕様が確定する前にコピーが先行して書かれたり、仕様変更があとから入ったりすると、この欄だけが実物から取り残されます。
コピーは「企画」から書かれることがある
商品ページのコピーは、商品そのものではなく、商品の企画書や訴求方針から書き起こされることがあります。企画段階で「PDFガイドも付ける予定」「解説動画を用意する」と決めていた項目が、実際の制作工程で作られないまま、コピーの文言だけが残るという流れです。
一度書いた文言は、仕様が変わっても直されにくい
商品ページの文言は、一度公開されると見直される機会が少なくなります。商品自体の仕様変更(同梱物を減らす、代替物に差し替えるなど)が起きても、ページの記載を仕様変更に合わせて直す工程が、制作フローの中に組み込まれていないことがあります。
どちらの場合も、書いた人に虚偽の意図があったわけではありません。記載の根拠が「実物」ではなく「予定」や「以前の認識」になっている構造そのものが、食い違いを生みます。
relmeaで実際に起きたこと|PDF・動画つきと書いたが、配布物には無かった
2026年5月24日、relmeaが当時販売していたGASツール8点の商品コピーおよび自社LP7ページを確認したところ、実際の配布物と記載が食い違っていることがわかりました。
商品ページとLPには、「設定ガイドPDF」と「セットアップ動画(5分・10分・15分、実画面付き)」が付属すると書かれていました。
実際の配布ZIPの中身
配布していたZIP7本の中身を確認すると、次のファイルのみで構成されていました。
- コード.gs
- Setup.gs
- SetupForm.html
- INSTALL.md(純テキスト)
- README.md
- LICENSE.md
PDFも動画も、画像すら1つも含まれていませんでした。INSTALL.mdの中に画像を参照している箇所もゼロでした。「PDF付き」「動画付き(実画面付き)」という記載に対応する実体は、配布物のどこにも存在しなかったことになります。
修正の規模
発見したのは運営者本人です。修正は全14ファイル31箇所におよび、表記を「ステップ別の詳細手順書(INSTALL.md、コード貼り付け位置まで明記)」という、実際に配布していたものに合わせた内容へ統一しました。
なぜ気づかなかったのか|コピーが実物ではなく企画から書かれていた
原因は、商品コピーを生成した過去の作業で「価値訴求を強める」方向に文言が盛られ、実際の納品物と乖離したことにあります。意図的に事実と異なる記載をしようとしたわけではなく、コピーが実物ではなく企画段階の予定から書かれていた、という構造の問題でした。
「価値を強める」方向の加筆が起きやすい
商品コピーを作る作業では、読み手に価値を伝えるために表現を強める判断が自然に働きます。この判断自体は商品コピーの役割として妥当ですが、強める対象が「実際にあるもの」ではなく「あってほしいもの」にすり替わると、記載と実物がずれます。
この不一致が意味すること
セット内容や付属品の記載が実物と食い違うことは、景品表示法の優良誤認や特定商取引法の表示に関わる不一致に抵触するレベルの問題になり得ます。断定的な法解釈をここで示すことはしませんが、実物と異なる記載を放置すること自体が、事業運営上のリスクであるという点は明確です。
記載と実物を1行ずつ突合する検品の設計
この一件を受けて、relmeaでは新規コピー作成時・既存コピー修正時の両方で、次の手順を固定しました。
手順1: 実物の一覧を機械的に出す
配布ZIPであれば、圧縮ファイルの中身一覧をコマンドで出力します。
unzip -l <配布ZIP>で、ZIPに含まれる全ファイル名を一覧化する- 一覧はコピーを書く前に必ず取得する(記憶や過去の認識に頼らない)
手順2: 「同梱されるもの」「特典」の記載を1行ずつ突合する
商品ページ・LPに書かれている「同梱されるもの」「特典」の記載を1行ずつ抜き出し、手順1で出したファイル一覧と突き合わせます。記載1行に対して、対応する実物1件が存在するかを確認します。
手順3: 視覚資料の主張は特に厳格に検証する
「画面付き」「動画付き」「PDF付き」という主張は、読み手の期待値を強く引き上げる表現のため、特に厳格な確認が必要です。
- 「画面付き」と書くなら、mdファイル内に画像参照が実在するか
- 「動画付き」と書くなら、.mp4 / .mov / .webm のいずれかが実在するか
- 「PDF付き」と書くなら、.pdf が実在するか
手順4: 実態が無ければ表記を実態に合わせる
突合の結果、記載に対応する実物が無い場合は、表記を実態に合わせて修正します。実物を後から作ることは可能ですが、それはコピー修正とは別のタスクとして切り離し、実物が揃うまでは「無いものを書かない」を優先します。
順序が重要です。実物の一覧を先に出し、記載側をそれに合わせて検証します。記載を先に読んでから「これはあったはず」と実物を探しに行くと、探す側の記憶が判断に混ざり、同じ見落としが繰り返されます。
物販に置き換えると|出荷物とセット内容欄の突合
relmeaで起きたのはデジタル商品(配布ZIP)の事故でしたが、同じ考え方を当てはめると、物理的な同梱物を扱う物販にも同じ構造のリスクが存在すると考えられます。relmea自身が物販でこの事故を起こした実績データはないため、ここでは考え方の展開として示します。
物販側の対応物
デジタル商品の配布ZIPに相当するものは、物販では出荷時の同梱物です。
- 出荷時に同梱するものの一覧(納品書・取扱説明書・保証書・付属パーツ・おまけ)
- 商品ページの「セット内容」「付属品」欄
- 商品画像の中に描かれた文字(「○○付き」といったバナー)
- モールごとに別々に登録された商品説明文
物販ならではの突合ポイント
物販では、商品ページの記載がモールごとに分岐して管理されているケースが多くなります。ある1つのモールで同梱物の仕様を変更した際、他のモールの説明文や商品画像内のバナーまで、同じタイミングで更新できているかは、機械的な一覧との突合がなければ確認しづらい点です。
同梱物リストと商品ページの記載を1行ずつ突き合わせるという考え方自体は、デジタル商品・物理商品のどちらであっても変わりません。実物の一覧を先に出し、記載側をそれに合わせて検証するという順序が重要になります。
機械で確かめられる部分と、人が見る部分の線引き
この突合は、全てを人の目で行う必要はありません。ただし、全てを機械に任せられるわけでもありません。relmeaでは次のように分けています。
機械に任せる部分
- 実物の一覧を出すこと(ZIPの中身一覧、同梱物マスタの出力)
- 拡張子で判定できる「存在の有無」(.pdf / .mp4 / .mov / .webm があるか)
- 手順書の中に画像参照が1件でもあるかの検索
- 記載側から「付き」「同梱」「特典」を含む行を抜き出し、実物一覧と対応表にして、対応先が空欄の行を検出すること
- モールごとの説明文を並べて、同梱物に関する記述の差分を出すこと
人が見る部分
- ファイルが存在していても、その中身が主張どおりかの確認(「実画面付き」と書くなら、動画の中に実際の画面が映っているか)
- 「詳細な」「丁寧な」といった程度の表現が、実物の水準と釣り合っているか
- 法的な表現に関わる判断(優良誤認に当たり得る表現かどうか)
- 実物が無いと分かったとき、表記を直すのか、実物を作るのかの判断
機械の役割は「存在しないものを、存在すると書いていないか」を漏れなく拾うことです。人の役割は「存在するものが、書いてあるとおりの質か」を判断することです。この2つを分けておくと、機械側の検査は公開前の工程に固定でき、人の目は程度と質の判断だけに使えます。
まとめ|公開前に「記載1行 ↔ 実物1件」を対応させる
relmeaでは2026年5月24日、商品ページとLPに「設定ガイドPDF」「セットアップ動画」の付属を記載していたにもかかわらず、実際の配布ZIP7本にはそのいずれも含まれていないことが判明しました。全14ファイル31箇所を修正し、記載を実態に合わせました。
原因は、コピーが実物ではなく企画段階の予定から書かれていたことにあります。「価値訴求を強める」判断自体は自然に起きるものであり、そこで実物との突合が挟まっていなければ、誰にでも起こり得る構造の問題です。
対策として固定したのは、実物の一覧をコマンドで機械的に出し、商品ページの「同梱されるもの」「特典」の記載を1行ずつ突き合わせるという手順です。特に「画面付き」「動画付き」「PDF付き」といった視覚資料の主張は、対応するファイルが実在するかを個別に確認します。
同じ考え方は、同梱物が物理的なものである物販にも当てはめられます。同梱物リストを先に確定し、商品ページ・商品画像・モールごとの説明文を、その一覧と突き合わせる。公開前に「記載1行 ↔ 実物1件」を必ず対応させることが、この種の食い違いを防ぐ最低限の設計です。
